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日本は味噌育ち、イギリスはビール育ち

 ヤスリに命を与える焼入れには、味噌田楽よろしく味噌を塗ります。 味噌は、もちろん食用で、食塩や硝酸カリウムを混ぜて使います。 食塩や硝酸カリウムは、焼入れ硬化を助ける働きをします。 焼入れとは、高温に加熱したものを急激に冷却して硬化させることをいいます。 その操作は、ヤスリの表面に味噌を塗って乾燥させ、780℃〜800℃に加熱して、水中で急冷します。 味噌を塗らないヤスリは、水に入った瞬間、ヤスリの表面が水蒸気の膜に覆われます。 この水蒸気膜は、ヤスリの冷却を妨害し、焼入れ硬化を妨げます。 味噌を塗ると、ヤスリに水蒸気膜が付かないようになるため、冷却が速くなり、完全焼入れができます。 その結果、十分な硬さとなり、ヤスリがよく切れるようになります。 そのほかの効用としては、不純物の付着防止と焼割れを阻止することがあげられます。
 ヤスリは、味噌のおかげでなりたっていると言っても過言ではありません。 ちなみに、現在使用している味噌は、赤味噌が多いようです。
 ヤスリのほかに味噌を塗って焼入れした刃物は、長野県の信州鎌、愛知県豊橋の鎌、それに鳥取県倉吉の千歯などがあります。

つまり、日本は味噌育ち


 18世紀のイギリス・ニューカッスル地方のヤスリの焼入れ方法は、次のようにしていました。 ヤスリをビール酵母に浸してから、海塩とモミガラをまぶします。 乾燥後、コークスで加熱し、ヤスリが桜色になると素早く取り出し、水に入れて急冷していました。 ヤスリに何も付けずにコークスで加熱しますと、表面が酸化したり、 炭素元素(ヤスリで一番大切な成分)がガスとなって脱け出して、ヤスリが切れなくなります。 それを防止するために、ヤスリをビール酵母に浸して後、海塩とモミガラをまぶしたようです。

つまり、ヨーロッパはビール育ち




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